毎日食べたい。ミシュラン1ツ星「sio」の
Cheesecakeへのこだわり

 

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●「作りたい料理ってないんですよ」 

世界広しと言えども、こんな言葉が口から出るミシュランシェフは他にいないだろう。が、鳥羽シェフの口からは、なんのてらいもなく、ごく自然に飛び出す。東京・代々木上原駅前。マンションが立ち並び、閑静な印象だが、この街は知る人ぞ知る食の街。路地裏に入ると、小さなレストランがそこかしこに隠れている。そんな街で、駅にほど近い場所に店を構えるフレンチレストラン「sio」。

 

 

 

●サッカー選手、小学校教員を経て32歳から料理人になった鳥羽シェフ

街になじみ、自然体でモダンカジュアルなミシュラン1ツ星レストランを率いているのが、鳥羽シェフだ。サッカー選手、小学校教員を経て32歳から料理人になった鳥羽シェフ。若くから経験を積むことが大切とされる料理界では「異色の経歴」と言われる職歴を持つ。

シェフとして入っていたレストラン「Gris」を自ら買い取り、「sio」をオープンさせると、2年後の2020年ミシュラン日本ガイドで1ツ星リストに掲載された。今や、東京で予約の取りにくいレストランの1つだ。

「幸せの分母を増やす」ために「ふつう」をアップデートしたいという「sio」で提供されるのはイノベーティブなフレンチを主体としたコース。特筆すべきスタイルは隅々までの徹底した「こだわり」。食材のカットの仕方はもちろん、素材の味を邪魔しない味のつけ方など、細やかな気配りが見られる。しかし、レストランが料理にこだわるのは当たり前であり、何も珍しいことではないと鳥羽シェフは語る。お客様に心地よく過ごしてもらうため、さらに何が必要なのかを、とことん突き詰め考えた本質的なものへの「こだわり」が随所に溢れている。

 

 

●「ふつう」をアップデートする鳥羽流

店内インテリアは自作で、店内でかかる音楽はDJの沖野修也さんに店のイメージに合うような選曲を依頼。お客様が滞在している間に同じ音楽がかからないようなプレイリストを構築。テーブルナイフは3日おきに、職人が研いだ状態の物が届くよう職人と年間契約。いつでも最高の切れ味をお客様の手元に届ける。おしぼりは日本一のおしぼりタオルであると考えているIKEUCHI ORGANICのタオルを利用。スタッフのユニフォームから靴にまで、すべてに意識を働かせている。

代表メニューである馬肉のタルタル「馬肉/ビーツ/プラム」は、おしぼりの使い心地を堪能してもらいたいという理由で、フィンガーフードに仕上げ、食べ終わりに手を拭いてもらう仕組み。特段、おしぼりについて宣伝はしなくとも、使い心地を楽しめる、そんな風にsioではすべての物事に理由が存在している。

各ジャンルの一流の作り手の物を集めるのではなく、一緒に店を作り上げていく仲間を集めながら、進んできた。sioはそんな店である。細かく徹底的に作りこまれているのに、自然でそれを感じさせず、リラックスして味に集中できる。そのこだわりを理解した顧客が多く集まり、クリエイターや起業家など、物を創る職業の人も多いという。

隅々までのこだわり、気配りが日々の「ふつう」のレベルを上げていく。そのためにはテレビ出演、SNS発信はもちろんのこと、スタッフの独立開業も全力で応援する。自身の新規店舗の開店も続いているが、フレンチシェフであるにも関わらず、居酒屋の次はすき焼き屋を開店するという自由さ。「節操がない」「こだわりがない」と眉をしかめる人もいるかもしれない。しかし、鳥羽シェフの中では、地続きのこと。そもそも「作りたい料理がない」料理人なのだ。しかし、お客様に喜んでもらう事には、心血を注ぐ。

今まで漫然と行われていた物事を、隅々まで気配りし、「ふつう」をアップデートする鳥羽流で行うとこうなるという挑戦なのだ。

 

 

●「ふつうのおいしさ」を目指したチーズケーキ

 

そんな「sio」の「チーズケーキ」は、やはり「ふつうのおいしさ」を目指したという。特別な食材を用いて作れば、それは華やかなゴージャスなものになるのは当たり前。でも、家庭で食べるには負担になるというのが、鳥羽シェフの考え。奇をてらわず、クリームチーズと生クリーム、卵など一般的なチーズケーキの材料を使ったレシピだが、おざなりなわけではない。レストランでの配膳のようにスタッフがお客様の状況を見て細やかに配慮できない家庭でも、おいしく食べられるよう、半年の試作期間を経て完成した、鳥羽シェフの配慮に満たされた「チーズケーキ」なのである。

 

 

●自宅でシェフの味をそのままを楽しめる冷凍技術

家庭でも手軽に「sio」の味を食べられるようにしたのが、「プロトン凍結」というクオリア―スの冷凍技術だ。通常の冷凍食品は解凍時に食品の細胞が壊れてしまい、味が劣化する。「プロトン凍結」では食材の水分子を整列させながら冷凍を行う。そうすることで、解凍時に食材の細胞が壊れにくくなり、元の料理の味がそのままに再現されるのだ。2時間ほど常温においておけば、解凍完了。ベストな解凍時間を作り出すためにやきもきする必要はない。

解凍された「チーズケーキ」は、なめらかなクリームチーズと生クリームの味わいを卵が包み込み、濃厚ながらも、甘さ控えめで、さわやか。アーモンドプードル入りのクッキー生地の香ばしさが、フワっと香りる。食事の後に食べても、負担にならない軽やかな味わいだが、「もう一口だけ……」と手が止まらなくなってしまう。毎日食べられるくらいに軽やかで、肩ひじ張らずに気楽に食べられるスイーツだが、印象に残る上質な味わいは、隅々まで鳥羽シェフの心くばりが表現されたもの。

自分で解凍しなかった場合、冷凍食品だと言われなければ、冷凍食品だと気づくことも難しいかもしれない。一度に食べきれない場合は、冷蔵庫にしまっておけば、3日ほどはおいしく食べられる。

 

 

●こんな楽しみ方も。ひとつで二度楽しめるおすすめの食べ方

食べる人が何か手間をかけなくてはならないのは、負担だからとアレンジも不要なレシピを構築している「sio」の「チーズケーキ」。

唯一のおすすめアレンジは上質なオリーブオイルと塩を少々かけること。こうすることで、オリーブオイルの華やかな香りと、クリームチーズのまろやかさが際立ち、まったく異なった印象の「チーズケーキ」へと変貌を遂げる。

ティータイムに一緒に楽しむならば、薄く入れたコーヒーや紅茶がおすすめ。夜食に味わうならば、さっぱりした日本酒との相性を確かめていただきたい。豊かな味わいが相互に引き立ち、印象の異なった「チーズケーキ」を味わうことができるだろう。

平日、疲れて帰宅して、手洗い、うがい。そして「チーズケーキ」を明日の準備をするためのパワーチャージフードとして1口食べるなんていうシチュエーションも歓迎だ。

 

 

●いつでもおいしく、食べる人の日常と共にありたい

「sio」は、くまモンのデザインで知られるクリエイティブディレクターの水野学氏により「Syuusaku Itsumo Oisii(しゅうさく いつも おいしい)」の頭文字を取って名付けられた店名。

その名の通り、この「チーズケーキ」は特別ではなく、いつでもおいしく、食べる人の日常と共にありたいケーキなのだ。

もちろん、何かのお祝いなどの際の演出としても利用できる。誰にとっても食べやすい味わいで、人数の多い集まりでも皆に喜ばれることは間違いない。

食べる人の「ふつう」をアップデートしていく「sio」の「チーズケーキ」。

手が止まらなくなる「チーズケーキ」を堪能して、明日へのエナジーチャージしていただきたい。

 

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